「性病」とか「性器感染症」という言葉を聞いたことがないという人はほとんどいないでしょう。
最近は、小学生でも高学年になると性行為の経験がある子が少なくありませんが、中学生や高校生でも性病についてきちんとした知識を持っている人は少ないでしょう。
「性病」という言葉はどこからきているのかと言いますと、1948年に施行された「性病予防法」という法律です。
この法律は後に、感染症法の制定に伴って1999年に廃止されていますが、性病予防法で対策の対象とされた4つの疾患のうちのひとつに鼠径リンパ肉芽種症というものがあり、この原因となるのがクラミジアです。

他の3つの疾患は、梅毒・軟性下疳・淋病ですが、梅毒は日本ではペニシリンの普及によって現在は激減しており、軟性下疳は元々東南アジアやアフリカなどの暑い地域で多くみられる疾患であり日本国内では終戦後の性感染症流行期にときどきみられたものの他の3つの疾患と比較して国内での発生頻度は極めて低いとされています。
ですから、国内で現在問題となる性病のほとんどはクラミジア感染症と淋病ということになります。

女性では、近年の性行為の低年齢化の影響もありクラミジア感染症・淋病ともに10代前半から感染者が増加し始めますが、国立感染症研究所が行った感染症発生動向調査によるとクラミジア感染症は淋病と比較してその報告数が圧倒的に多いのです。
つまり、日本で一番多い性病はクラミジア感染症ということになりますが、クラミジア感染症は症状が非常に軽いことが多く感染しても自覚症状がないことが珍しくありません。
このため放置されてしまうことが少なくなく、気付かないうちに炎症が広がり将来の妊娠に支障をきたす原因となる可能性もあります。

また、クラミジアに感染したまま出産をした場合、産道感染によって赤ちゃんにも感染し新生児肺炎などを引き起こす可能性もあります。
クラミジア感染症とは、症状は軽くてもこのように大変な性病なのです。
ですから、もし少しでも心当たりがある場合には早めに婦人科を受診し検査をしてもらうことが大切です。

クラミジア感染症の治療は、ジスロマックのような抗生剤の内服が一般的です。
抗生剤の中には妊娠していると使えないお薬もありますが、妊娠していない場合にはクラビットなどを使用します。
クラビットは風邪を引いた時などに処方されたことがあるという方もいるのではないでしょうか。
クラミジア感染症は適切な治療を行えば治癒しますが、大切なことは、自身が感染者だとわかった場合にはセックスパートナーにも受診してもらい、感染がわかった場合にはふたりともしっかり治療を行うことです。

性病感染率一位は日本の女子高生って本当?

日本の女子高生が性病感染率世界一というのは非常にショッキングですが、わが国の若年層の性病率は他の国と比較しても非常に高いことがわかっています。
文部科学省の関係団体である日本性教育協会(JASE)が高校生を対象に行った無症候(症状が特にないこと)クラミジア感染の有病率と危険因子に関する調査によると、日本国内の女子高生約3000人のうち無症候クラミジアの感染率は13.1%だったとのことです。
13.1%というと、およそ8人に1人が感染しているという計算になります。

クラスに40人生徒がいれば5人はクラミジア感染症だということです。これは相当な感染率ではないでしょうか。
欧米でも同様の調査は行われていますが、アメリカの3.9%、スウェーデンの2.1%(アメリカ・スウェーデンの調査は男子高校生も含む結果)に比べてはるかに高い数値であり、日本の感染率はダントツの世界一であると言えます。
この調査では、性病率の他に感染率と相関関係にある危険因子も検討されていますが、性的パートナーの数が増える程、つまり、経験人数が増える程に性病率が高くなることがわかっています。
中学生や高校生の中には経験人数が多い方がカッコイイと考えている人もいますが、本当に大切なことは安易な性行為をせずに自分にとって大切な人を見極められることです。

一時の感情で大切な将来を安売りすることにもなりかねませんから、性行為にすすむ前に、自分は本当に目の前の相手を大切に思っているか、そして相手も自分を大切に思ってくれているか、ほんの少し考えてみましょう。
そうすることで安易な性行為が減り、性器感染症の罹患率の減少にもつながります。
女子高生ひとりひとりが今よりもう少しだけ自分を大切にしてみることで、わが国の性病感染率はグッと減るのではないでしょうか。